地域文化の中の食
「たまがんぞう」
尾道では、子どもの頃(昭和40~50年ごろ)は、どこの家にもあり、さほどものめずらしくなかった。昨今では漁獲量も減り、やや高価になった。11月末から冬季に漁がされ、内臓を出して、塩水で洗い、冷たい潮風で3、4日干してつくられる。
「でべら」は「タマガンゾウヒラメ」のことで、干したものを「でべら」と呼ぶ。俗に「出平鰈(でべらかれい)」と呼ばれるが、ヒラメの一種である。「でべら」は「でびら」とも言われ、その語源は、「デメヒラメがなまった」という説と、手の平を広げたような形から「手平」と呼ばれたという説がある。
食べ方は、基本的にはあぶって食べる。骨がかたいので、あぶる前にしっかりと金槌等でたたく。たたき方が少ないと口の中で骨が刺さってしまう。よくたたいておくと、香ばしい骨もおいしい。
練炭や炭であぶるのがおいしいが、あぶりすぎは身ががたくなるので注意。大きなものは身をはがして食べるが、小さなものでは丸ごといただく。あぶったら、醤油・七味等で食べるが、酢であえてもおいしい。
また、唐揚げにすることもある。
基本的に歯ごたえがある乾物で、子どものおやつや酒の肴に良い。しっかり噛むほどにうまみがでてくるので、自然と噛む回数も増え、健康にも良い。
「たまがんぞう」は、なつかしく、しみじみとした味わいである。
